2.累進歩合制度とは

累進歩合制度とはどういうものかみていきましょう。
累進歩合給制度とは、運賃収入等に応じて歩合給が定められる場合に、その歩合給の額が非連続的に増減するものである、とされています。
よく例示されているのが、次のようなものです。

累進歩合給の例

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累進歩合給ではないが、累進歩合的性格を持つ制度の例

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水揚高等を数段階に区分し、その水揚高の区分の額に達するごとに一定額の加算を行う「奨励加給」の例です。

で、これらの何がいけないかというと、賃金締切日近くなって、もうちょっと頑張れば、歩率や、奨励加給などがグンと有利になるような賃金制度であれば、乗務員が結果的に無理をしてしまい、それが、長時間労働やスピード違反を極端に誘発し、交通事故の発生につながるでしょう? ということです。

そして、そういう累進歩合的性格を持つ制度は、賃金が「非連続的に増減する」からダメだということです。

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非連続、不連続・・・要は、断点段差があるということです。

つまり、よくある足切前後で歩率が違ったり、基準を数段階に分けて、少しずつ歩率や、手当の額を変えている場合もこれにあたることになります。

しかし、そうなると疑問が生じてくるわけです。
「わずかな段差であっても、長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあり、交通事故の発生も懸念される累進歩合制度とみなされるのか?(それはちょっと違うんじゃない?)」

そこで、とある行政機関に聞いてみたところ・・・、結論は、「わずかな段差であっても、断点があるならそれは累進歩合制度」、との話でした。

なるほど、まあ予想はしていましたが・・・。

なぜなら、もし、そうでなければ、絶対に次のような議論になるからです。
じゃあ、どれくらいの段差だったらOKですか?

そもそも、そんな明確な数値は出されていないし、これくらいだったらいい、これくらいはダメなどと感覚だけで指導されたら、かえって現場は混乱するでしょう。

民事的な争いであればまた別かもしれませんが、改善基準をもとに行政指導する立場であれば、なるほど、私も同じように考えます。

現実には最賃問題や割増賃金未払い、拘束時間違反等の問題の方が顕在化していることから、指導の優先順位としては、今のところは、それほど高くないのかもしれません。

しかし、おそらく多くのタクシー会社が、何らかの累進歩合的なシステムは導入している上に、あえて、通達(基発0124第1号)が出された以上、今後、指導が強化される可能性は大でしょう。
しかも、実際に指導がなされたならば、通達に基づき「累進歩合制度の廃止等改善状況については、〇月〇日までに報告してください」と、期限付きで回答を求められることになります。

それでは、累進歩合給制度の廃止とセットで語られることの多い、積算歩合給制について、次に考えていくことにします。

(つづく)
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