Q6:歩合給に対して欠勤控除はできるのでしょうか?

A6:歩合給については、そもそも欠勤控除の対象とはなり得ません。

解説

欠勤や遅刻などによる不就労時間に対しては、使用者は賃金を支払う義務は発生しない、この考え方を「ノーワーク・ノーペイの原則」と言います。
通常は、基本給などの固定給から「その月の所定労働日数」や「月当たりの平均所定労働日数」をもとに計算した額を控除することが多いようです。

それでは、給与がオール歩合給の場合も欠勤控除できるのでしょうか? 結論から言えば、オール歩合給や出来高給については、そもそも欠勤控除の対象とはなり得ません

歩合給は、基本給のように所定労働日数勤務したらこれだけ、という確定した支給額の考え方ではなく、出勤して、営業活動を行った結果としての出来高(運収等)に対して計算し、支給されるものです。

一方、歩合給制だからと言っても、最低賃金や法定労働外時間や深夜労働に対する割増賃金は適用されます。
しかし、これらの計算方法を見ても、固定給の場合は、「月当たりの平均所定労働時間数」で算定されるのに対し、歩合給の場合は、月当たりの「総労働時間」をベースに時間単価を算定しています。

(参考)
タクシー労務Q&A① オール歩合給って違法?
最低賃金 オール歩合給制の場合

つまり、「所定労働日数」や「所定労働時間」ではなく、実際に1か月働いた結果としての「総労働時間」が基本。これこそが、歩合給独特の考え方であり、結局、欠勤して所定労働日数が減ったからといって、割増賃金単価を計算する際の総労働時間は変わるものの、歩合給そのものに対しては、欠勤控除という考えが入る余地はない、ということになります。

オール歩合給の場合の欠勤控除については、こちらの記事でも解説していますのでご参照ください。
年次有給休暇の考え方