オール歩合給制の場合の最低賃金チェック法
具体的に最低賃金のチェック方法を見てみましょう。
まず、オール歩合給制の場合です。
◆基本条件
月間総労働時間 200時間 内訳:1か月平均所定労働時間 170時間 /時間外労働時間 30時間(うち深夜労働時間 15時間) |
総支給額181,675円と仮定
【内訳】
・歩合給(本体) 172,000円
・時間外割増賃金 6,450円(144,000円÷200時間×0.25×30時間)
・深夜割増賃金 3,225円(144,000円÷200時間×0.25×15時間)
◆時間当たりの賃金額の算出
時間外と深夜の割増賃金は、最低賃金額との比較にあたって算入されず、歩合給(本体)の時間当たりの賃金額を計算しますので、
歩合給172,000(円)÷月間総労働時間200(時間)=860(円)
が、時間当たりの賃金額になります。
福岡県の場合、現行(令和3年度)最低賃金は870円ですので、アウトという結論になり、不足分を支払わなくてはなりません。
◆オール歩合給制の最低賃金チェックポイント
歩合給の時間当たりの賃金額は、歩合給の額をその歩合給を得るために働いた総労働時間(所定労働時間+時間外労働時間)で割って計算します。
歩合給の時間当たりの賃金額=歩合給÷月間総労働時間
この額が、地域別最低賃金額以上であればOKです。
所定労働時間で割るのではないことに注意!
◆留意事項
ここで留意しておかなければならないのは、時間外および深夜の割増賃金を歩合給に含む賃金制度を採用しているような場合、歩合給相当部分と割増賃金相当部分の区分が分からず、そもそも時間額に換算できないということです。
例えば「給料は運収の50%(割賃含む)」といった条件を見かけますが、これでは論外ということです。
したがって、このような賃金の支払方法を採用している会社においては、歩合給相当部分と割増賃金相当部分を就業規則などで明らかにし、その上で、時間当たりの賃金額を計算し、最低賃金額と比較する必要があります。
また、労働基準監督署等からは、当然その点を要求される、ということです。
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