基発第3 3 1号
平成6年5月3 1 日

都道府県労働基準局長殿

労働省労働基準局長

法定休日における割増賃金の考え方について

 標記については、これまで数次の通達で示しているとおりであるが、今般、労働基準法の改正等により、法定休日の労働に係る割増賃金率が3割5分以上の率となり、時間外労働に係る割増賃金率と異なる率となったことに伴い、その考え方を下記のとおり取りまとめたので、了知の上、取扱いに遺憾なきを期されたい。
 なお、下記の考え方は、従来の通達を変更するものではないので、念のため申し添える。

1 暦日休日の場合の休日労働及び時間外労働の取扱い

 労働基準法(以下「法」という。)第35条の休日は原則として暦日を指し、午前0時から午後12時までをいうものであるが、当該休日を含む2暦日にまたがる勤務を行った場合の法第37条に基づく割増賃金を支払うべき休日労働及び時間外労働の考え方は次のとおりである。
① 休日労働となる部分の考え方
 法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。
 したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

② 時間外労働となる部分の考え方
 ①で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。この場合、1日及び1週間の労働時間の算定に当たっては、労働時間が2暦日にわたる勤務については勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う。

2 8時間3交替制勤務、旅館業及び自動車運転者に係る暦日によらない継続24時間の休日の場合の休日労働及び時間外労働の取扱い

(1) 8時間3交替制勤務

 3交替連続作業を行う事業場における休日の取扱いについては、昭和26年10月7日付け基収第3962号及び昭和63年3月14日付け基発第150号によって、継続24時間の休息を与えればよいとし、その休息時間中に暦日による継続24時間がある場合はその暦日を法第35条の休日として取り扱うこととしているところであるが、このような事業場における暦日によらない継続24時間の休日の場合の休日労働及び時間外労働の考え方は次のとおりである。

① 継続24時間を含む休息時間中に、当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間の休息時間が特定されている場合であって当該特定された継続24時間の休息時間が確保されているとき、又は当事者間でそのような定めがされていない場合であって継続24時間の休息時間が確保されているときは、法第35条の休日が確保されることから、休日労働となる部分はない。

② 当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間の休息時間が特定されている場合であって、当該特定された継続24時間の休息時間中に労働させたときは、当該休息時間中に労働を行った部分が、3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

③ 当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間の休息時間が特定されていない場合であって、継続24時間を含む休息時間中に労働させたことにより、継続24時間の休息時間が確保されなくなったときは、当該継続24時間の休息時間が確保されなくなることになった労働を行った部分が、3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

④ 法定休日が2日連続して置かれている場合には、継続24時間を2回の継続24時間又は継続48時間として読み替えて上記①~③に従って取り扱う。

⑤ ①~④で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。

(2) 旅館業における休日労働及び時間外労働の取扱い

 旅館業における休日の取扱いについては、昭和57年6月30日付け基発第446号により、法第35条の休日は、暦日を原則としつつ、当分の間、正午から翌日の正午までの継続24時間を含む継続27時間以上の休息期間が確保されている場合には2暦日にまたがる休日を認めているところである。
 このため、暦日としての休日がある場合には、原則どおり当該日の午前0時から午後12時までの休息時間に労働した場合が3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となり、2暦日にまたがる休日の取扱いをする場合には、正午から翌日の正午までの継続24時間の休息時間中に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。
 なお、法定休日が2日連続して置かれている場合には、継続24時間を2回の継続24時間又は継続48時間として読み替えて取り扱うこと、また、休日労働とされる時間帯を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となることは、上記2(1)の場合と同様である。
 おって、昭和57年6月30日付け基発第446号記の3の要件を満たさない場合は、原則どおり、暦日をもって休日を判断することとなる。

(3) 自動車運転者の休日労働及び時間外労働の取扱い

 自動車運転者の休日の取扱いについては、平成元年3月1日付け基発第93号により、「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」、すなわち、通常勤務の場合は連続した労働義務のない32時間を、隔日勤務の場合は連続した労働義務のない44時間を休日として取り扱うこととされているところである。
 このような事業場においては、「休息時間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に暦日24時間がある場合は、当該暦日を法第35条の休日として取り扱い、休日労働及び時間外労働の考え方は上記1のとおりとなるが、「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に暦日24時間がない場合の休日労働の考え方は次のとおりである。

① 「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に、当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間が特定されている場合であって当該特定された継続24時間が確保されているとき、又は当事者間でそのような定めがされていない場合であって継続24時間が確保されているときは、法第35条の休日が確保されることから、休日労働となる部分はない。

② 「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に、当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間が特定されている場合であって、当該特定された継続24時間中に労働させたときは、当該特定された継続24時間中に労働を行った部分が、3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

③ 「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に、当事者間の定めにより休日として取り扱うべき継続24時間が特定されていない場合であって、「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に労働させたことにより、「休息期間に24時間を加算して得た、連続した時間」中に労働義務のない継続24時間が確保されなくなったときは、当該労働義務のない継続24時間が確保されなくなることになった労働を行った部分が、3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

④ 法定休日が2日連続して置かれている場合には、継続24時間を2回の継続24時間又は継続48時間として読み替えて上記①~③に従って取り扱う。

⑤ ①~④で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働となる。

なお、平成元年3月1日付け基発第93号記の第3の1の(1)のロの要件を満たさない場合は、原則どおり、暦日をもって休日を判断することとなる。