Q3:タクシー乗務で、所定の休憩時間を4時間とか、5時間とか長く設定することは可能でしょうか?
A3:93号通達により、事業場外での所定の休憩時間は、原則として3時間までとされています。
解説
労働基準法34条では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えなければならないとされています。その一方で、休憩時間の最長限度については特に定めはありません。だからといって、休憩時間も拘束時間の一部である以上、極端に長い時間を取ることは望ましくないでしょう。
自動車運転者の休憩時間については、行政通達で次のように示されています。
まず、労働時間の取扱いに関する基準として、「労働時間は、拘束時間から休憩時間(仮眠時間を合む。)を差し引いたものとすること。この場合において、事業場外における仮眠時間を除く休憩時間は3時間を超えてはならないものとすること。ただし、業務の必要上やむを得ない場合であって、あらかじめ運行計画により3時間を超える休憩時間が定められている場合、又は運行記録計等により3時間を超えて休憩がとられたことが客観的に明らかな場合には、この限りでないものとすること。」
更に、留意事項として「事業場外における休憩時間については、就業規則等に定めた所定の休憩時間を休憩したものとして取り扱うこととしたが、休憩時間が不当に長い場合は歩合給等の賃金体系との関連から休憩時間中も働く可能性があるので、事業場外での休憩時間は、仮眠時間を除き、原則として3時間を超えてはならないものとしたこと。なお、手待時間が労働時間に含まれることはいうまでもないこと。」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について 平成元.3.1基発第93号 いわゆる「93号通達」)
つまり、タクシー乗務員が会社の外で休憩をとる場合、所定の休憩時間として定めることができる時間は「3時間まで」ということです。
では、事業場外ではなく、会社内の休憩室等で休憩するなら3時間を超える休憩時間を設定できるか?ということですが、理論上はできるということになります。
ただし、会社内であっても、その時間は完全に労働から解放され、自由に利用できる時間ということが前提になります。呼び出しを受けたらすぐに乗務する、ということであれば、それは「手待時間」にすぎず、労働時間として扱わなければなりません。
このあたりの管理があいまいになりがちであれば、事業場内外に関わらず、所定の休憩時間は3時間までで設定するのが無難ではないでしょうか。
通達で「運行記録計等により3時間を超えて休憩がとられたことが客観的に明らかな場合には、この限りでないものとすること。」とあるのは、例えば、通院や体調不良など本人の都合等で、所定の3時間以上の休憩をとったことが明らかな場合と考えた方がいいでしょう。その場合は、あとでわかるように、その都度運転日報等にきちんと(本人に)記載させておくべきです。
なお、休憩は労働者の権利であると同時に、義務でもあると思います。運行記録計等を見て、いつもいつも所定の休憩をとっていないような方がいれば、過重労働にならないように、休憩をきちんととることも指導すべきです。